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通じ合うためには
コラム

通じ合うためには

以前、子供たちの伝統芸能体験という企画を取材したことがある。能楽や三味線、日本舞踊などを子供たちが練習して発表する企画だ。もちろん、子供たちは能楽など演じるどころか見たこともない全くの初心者ばかりだが、発表に向かう表情は明るく、時折凛々しくも感じさせる。

取材の中で、発表を見に来た一人の父親にインタビューをした。彼の息子は三味線を発表したらしい。

「発表が終わっても、今後も続けたいと言っているんですよ。」

そう語る父親はやけに嬉しそうだった。彼は手の平を私の目の前に広げると、
「僕は若いころギターをしていたんです。でも、指が短くてあまりうまくいかなかった。息子は母親に似て指が長い。ギターではないが三味線も同じ楽器だ。古いものだが、息子にとって新しい体験に違いないし、ぜひ音楽をやってほしい。」
と語った。

父親は自分が通過してきた道と似た道を、息子が歩む姿に喜んでいたのだ。おそらく、父親はギターに一生懸命取り組んでいたのだろう。自分の価値観やフィーリングと相通じるものを見出す時、人は大きな喜びを感じる。この伝統芸能体験を行う前の父親と息子の関係がどうであったかは知りようがないが、音楽という小さな一点が二人の関係に新しい展開をもたらしたであろうことは容易に想像できる。

会話が弾まないことを悩む家庭も少なくないだろう。共通の話題が必要だということは分かるが意外と難しい。なければ作らなければいけないからだ。

しかも、これが家族でなく会社の人間ならどうだろう?世代が違えば通じ合うのは容易ではない。ともすれば、お互いに相通じるものがないままにチームとして惰性的に活動してしまうこともあるかもしれない。

小さなことでもいいから、共有できる話題で一つになる。そんな当たり前だが大切なことを、父親の言葉から教えてもらった。