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市境を抜けると「ワラビスタン」であった。

少し前に、近場に住んでいる知り合い数名と車を1時間半くらい走らせたところにある高麗神社へ行った。どちらかと言えばドライブしながらたまにはゆっくり話そうという趣旨だったので、渋滞もそこまで気にならず和やかな休日を過ごせた。おいしいリンゴを分けてもらった事や、配られたいくつかの飴がなんとも嬉しかった。

高麗神社のある地域は、1300年前に高句麗から亡命してきた渡来人たちに提供されたため、日本各地から1799人の渡来人が集まってきて高麗郡が形成されていったという。

高麗神社を歩きながら、最近似たような話を聞いた事を思い出した。自宅のすぐ隣の市で形成されているクルド人たちのコミュニティ「ワラビスタン」の事だ。

クルド人難民の第二の故郷「ワラビスタン」

クルド人は「国なき最大の民族」とも呼ばれ、3000万人が独自の国を持たずに中東の各地に跨って暮らしている。日本における在日クルド人は2000人程度。その内の約1300人が、埼玉県の蕨市・川口市に集中して暮らしているという。蕨市周辺に暮らす彼らは「クルド人の土地」を意味する「クルディスタン」と「蕨」を掛け合わせて「ワラビスタン」というコミュニティを形成しているのだ。

借りぐらしをするクルド人難民を多く抱える「ワラビスタン」。日本社会は友好的だと感じながらも、「難民申請」をほとんど受理しないなどの越えられない壁も感じている。その中で地域社会とトラブルを起こさすに、信頼を得られるようワラビスタンのコミュニティリーダーたちは地域への配慮をしながら、この問題に取り組んでいるように見受けられる。異文化共生を考えるうえで、帰属できるコミュニティが明確に存在し、そこに強い責任感をもった「顔役」が立っていて、地域住民との間の線引きや歩み寄りに取り組んでいる事は重要なポイントだと考えられる。

この地域には中国系のニューカマーが多く暮らす「芝園団地」なども存在していて、多文化共生を考える上で非常に興味深い。

参考記事:「埼玉の九龍城砦」

http://commusiru.jp/article/5700735861784576

難民の受け入れに対して課題を抱えている日本にも、1300年前には高麗郡を設置したように思い切った舵取りを行ったケースがあったことを思うと、この現代、ワラビスタンが安息の地になるための道筋について、受け入れる側がとるべきスマートな態度とはどういうものなのかについて考えさせられる。

断続的な渋滞続きになってしまっても、いつか蕨市周辺が在日クルド人たちにとって「シビックプライド」を持てる愛着ある地域になるよう着実に進んでいってほしい。

この記事を書いた人 関口オーギョウチ 埼玉在住。サブカルやマイノリティがつくるコミュニティに関心あり。矯めつ眇めつそこに宿る魂に触れたいなと思ってます。 関口オーギョウチの記事をもっと読む>>