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スポーツ界のパワハラ問題にみる業界特有の「あるある慣習」
コミュニティ コミュニティ 2018.03.22

スポーツ界のパワハラ問題にみる業界特有の「あるある慣習」

オリンピック連覇を華々しく飾った日本代表選手とコーチとの「パワハラ問題」は、長年に渡って応援してきたファンにとっては驚きを越え、「一体どういうこと!?」「信じられない!」という思いでいっぱいでしょう。

この一件の真相はいつかわかると思いますが、そもそもスポーツ界のパワハラは本当に存在するのでしょうか。今回は筆者が見聞きしたことを織り交ぜつつ、パワハラについて考えてみたいと思います。

経験者曰く、「そんなの普通にあるよ」

以前、あるスポーツの世界大会でも優勝をしているトップアスリートと、セクハラやパワハラについて聞いてみたことがあります。

その人曰く、「スポーツ界には、おそらくどこにでもあること。例えば(某スポーツ)の〇〇選手の一件は大々的に報道されてしまったけれど、その業界では「あーあ、みんなやってるのに、あの人だけ公にされてしまったね」と周囲で言っていたくらいです。」と、実にさらりと言うのです。

「その人だけ?」私は「だけ」の2文字がとても引っ掛かり、聞き返すと、「そうだよ。昔からあることで、誰もがわかっているけれど『敢えて言わなかった』だけ。もちろん全員がそうではないけれど。」と、訝し気な表情を隠せない私に答えてくれました。

その人も、困惑した私を見ても特に意に介さない様子から推測すると、おそらく本当にその業界ごとに存在する「あるある」で、当事者たちにとっては何の疑問もない、当たり前な空気なのかもしれません。

スポーツは、心と体の鍛錬だと教え、正々堂々とルールに乗っ取って競い合い、勝敗関わらず互いを称え合うといった爽やかな一面の下には、実は清々しくない面も色々あるのかも……と感じた瞬間でした。

敢えて言うことで、既存の「あるある」が壊れる

従来からパワハラは「向上するため」「強くなるため」「成績を上げるため」「チーム一丸となるため」といった目標のために、あらゆる世界・業界で黙認されつつ存在してきました。

でも、指導者や上司からどんなに理不尽なことを強いられても物申せない従来の世の中は現在変わりつつあり、その最たるものが「# Me Too」であり、「#Times Up」です。

これは、たった一つの声が、多くの人に気づきを与えてくれ、「このままではいけない!」と立ち上がらせるきっかけとなりました。

でも本当に怖いのは、スポーツ界だけでなく、学校にも、職場にも、はたまた町内会にも、人間の集まる世界には、どこにでも似たような状況があることです。

大儀や目的のための我慢や自己犠牲が、まるで美徳で正しいかのような雰囲気を作り出すのは、一歩間違えるとパワハラにもなり得るのです。

私たちも、もっと自分の身の回りにある「あるある」を、再考する必要があるのではないでしょうか。何も疑わず、それが常識だからと受け容れてしまうことは最も危険かもしれません。

この記事を書いた人 おおつかけいこ 教師歴10年の経験をもつ教育者。ライティングの「ものかき」でマネージャーを務めるほか幼児教室も主宰 おおつかけいこの記事をもっと読む>> 最新記事を毎日お届け
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