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30~40代現役育児世代にふりかかる介護 ダブルケアの実態
家族 家族 2017.08.05

30~40代現役育児世代にふりかかる介護 ダブルケアの実態

読者の中には、30~40代で育児中だという人も多いのではないでしょうか。子育てだけでもキツイところ、実は多くの方が子育てと介護を同時に行っているのです。
このように育児と介護を同時に対応することを「ダブルケア」といいます。
今回は、内閣府の情報や体験者の経験談から、ダブルケアについてお話しします。

25万人超がダブルケア状態

内閣府の「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書」によると、ダブルケアをする人は、全国で25.3万人であることがわかりました。そのうち、平均年齢は女性が38.9歳、男性は41.2歳で、約8割が30~40代ということも推定されました。これは、子育ての現役世代が、親や身内などの介護も担っているという状態を意味します。

体験談と対応策

筆者もダブルケア経験者の一人です。アラフォーになる今、まわりにもダブルケアをするママがでてきました。体験談をみていきましょう。

下の子が産まれて大変なときに母が亡くなりました。認知症の祖母もいたのですが、徘徊して警察に保護される事態になりました。肉体的にも精神的にも辛かったです。
(30代女性、子2人、ワーキングマザー)

認知症の父がいました。当時は小さかった子どもを連れて、介護の病院通いが一番キツかった。父はイライラして大声を出すこともあるし、重ねて子どもが泣いたりすると地獄でした。ヘルパーをお願いするようになって少し救われました。
(40代女性、子ども1人、専業主婦)

介護を機にフルタイムを辞めて近場のパートにしました。もう一人子どもが欲しかったけど、心も体も余裕なし。育児と介護に追われ、「こんなはずじゃなかった」と鬱っぽくなりました。シルバー人材センターに家事の手伝いを頼むようになってから、介護の話し相手にもなってくれ、家事も手伝ってくれて元気になった気がします。
(40代女性、子ども1人、ワーキングマザー)

このように、育児に介護が重なると、精神的にも肉体的にも想像以上に負担が増します。今の育児世代は晩婚の人も多く、それに伴って出産も遅くなっているのが現状です。そのため、昔ならば育児はひと段落していた時期でも、まだまだ子育て真っ只中という過酷な状況があります。少子化の進行により、兄弟が少ないために負担が分散できないという事情もあります。

ダブルケア経験者の多くがいうのは支援の必要性です。ポイントは、介護と育児の負担を他に担ってもらうことです。自治体や民間業者のヘルパーや看護師、デイサービスにショートステイ、家事育児をサポートしてくれる人の手配など“ダブルケアをしている人へのケア”が必要です。
サービスの利用には多くのお金がかかりますが、自治体の制度や補助だけでなく、民間業者でも安くサービスを提供していたり、短時間でもボランティアをしているところもあります。

大事な家族を守るために奔走する“介護や育児をする人”が倒れては本末転倒です。ダブルケアをする人は、意識して自分自身のケアをしてほしいものです。
また、周りが気づいて手を差しのべることは大きな意義があります。
人をとりまく問題には、つねに“人のつながり”を問う意義が存在しています。

ダブルケア人口の増加で、国を挙げての対策が検討され、すでに実行され始めています。いつやってくるかわからないダブルケア。他人事と思わずに、少し気にかけてみませんか。

【参考】

「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査報告書」内閣府男女共同参画局、平成28年4月
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