ポケモンGO開発者に学ぶ“育ちの環境”
先日、テレビでこんな言葉を耳にしました。
「最近の子どもは、おもちゃがないと遊べない」
そうおっしゃったのは、東京にある保育園の保育士さん。 確かにショッピングモールへ行けばたくさんのおもちゃが並び、両親や祖父母の「優しさ」から、おもちゃが子どもに渡ります。誕生日、クリスマス、お正月など、子どもにとっては嬉しいでしょうし、おじいちゃんおばあちゃんにとっても、かわいい孫に何かを買ってあげることで喜ぶ顔が見られると思うと、この上ない機会でしょう。しかしこの連鎖が、子どもをどんどん「何かがないと遊べない子」にしてしまっているのです。
ものの捉え方
1年ほど前に大ブームを巻き起こした「ポケモンGO」。 この開発者をご存知でしょうか
彼の名は、野村達雄。1986年に中国で生まれた彼の祖母は、中国残留孤児で、彼は幼少期からとても苦しい立場で、貧しい中で育ちました。バナナ1本が超高級品で、ゲームはもちろん、本当に何もない生活をしていたそう。聞けば聞くほど生活の苦しさを感じる中、彼は「あの環境があったからこそ」今があると前向きでした。
「ものがなくて、おもちゃと呼べるようなものなんてない中で、いかに楽しむかを考えながら遊んで来た幼少期だったからこそ、日本に来て、ゲームを手に入れてから、ゲームに魅了されることだけにとどまらなかった。ゲームに没頭するより、どのようにして作られているのかに興味が持て、人を楽しませるゲームを作るにはどうしたら良いかを考えられるようになった」と、野村さん。 彼は、ものがない中で遊ぶ方法を、その苦しい環境の中で学んでいたのです。
何かが起こった時に耐え凌ぐ力
では、“おもちゃがないと遊べない”ことの何が問題なのでしょうか。それは、日常に満足できなかったり、何事にも物足りなさを感じることに繋がりかねないと、私は彼の話を聞いていて感じました。
いつ不自由な生活を送らなければならないか、それは誰にも分からないことです。自然災害、経済危機、会社の倒産などは、予期せず我々の身に降りかかります。
その時、その苦境を耐え凌ぐメンタルやバイタルは、今の豊かな時代にはまり込んでいては身につけられません。 それは特に幼少期に経験しておくことが大切です。なぜなら、もののない中でいかに生活していくかを理解すると、その環境が当たり前になり、いつか不便な生活を送ることになっても文句や弱音が出にくくなるからです。
時代に左右されない子にするために
時代が変わり、豊かになり、ものが溢れ……それについていくことも大切ですが、幼い頃からそうである必要はありません。「欲しいと思えば買えば良い、要らなくなったら捨てれば良い」を幼い子どもに教えても、良いことはほとんどないでしょう。 子どもたちの中で、ゲームが溢れ、会話が減っている時代だからこそ、子どもに、その環境に左右されない術を身につけさせてあげたいと願うのでした。