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国連職員による部活動
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国連職員による部活動

今月の上旬に「国連合唱団」の公演に招待された。平日の夜。全容がよく分からないまま、仕事帰りにとるものもとりあえず早稲田の大隈記念講堂に足を運んだ。どうやらこの合唱団は国連職員によるいわゆる部活にあたり、その創立は1947年。国連本部史上、最も古くから活動しているクラブだという。最初はお互いの祖国の音楽を共有するという趣旨から始まったが、世界中の伝統的な衣装を身にまとって歌う彼らのスタイルが人気を博し、今では年に一度は休暇を使って海外公演を行っているとのこと。たしかに30人くらいが色とりどりの衣装を着て並んでいるだけでなかなか圧巻。しかも自国のものを必ず着ているわけでもないようで、そのシャッフル具合もおもしろくて目を楽しませてくれる。

力の入れようにオフィシャルな業務なのかと思っていたが、そこはやはり部活なので基本的に合唱団の活動は、リハーサルも公演もすべて仕事の合間に、就業時間外に行っているそうだ。それでも国連職員として、国連憲章にのっとって活動を展開しているというところには、なんだか凄さを感じる。国連事務総長のアントニオ・グテーレスも公演に対してのメッセージを送っていて「音楽は人々を結びつけて相互理解を生み出す巨大な力を持っています。それは普遍的な平和な言葉です」と平和を育む合唱団の活動に期待を寄せていることを表明していた。

パンフレットには日本公演での行動日程と各地での演目が載せられていたが、6日間ぶっ通しで毎日公演が入っていて、合唱以外にも世界文化遺産の見学、表敬訪問や座談会への参加などをこなしながら、またなによりも訪問先の音楽グループとのコラボレーションも抜かりなく行っているところがタフだなと驚かされた。ちなみに早稲田大では「早稲田大学交響楽団」とコラボしていた。学部生のみで構成され「ワセオケ」の愛称で知られる早稲田大学公認のアマチュアオーケストラも、その存在感たるや圧倒的なものがあった。ステージになんとか収まってる印象で100名近くいたのではないかと思う。演奏は鳥肌ものだった。合唱との一体感も見事だったと思う。

美しいハーモニーを生み出すには

スケジュール蘭には「9月10日に全員米国へ帰国」と記されていた。帰国の後は、長旅の疲れもとれぬうちに、そのまま国連総会の慌ただしさに突入したのだろうか。帰り道、電車に揺られながら考えてみた。個人的には、彼らの活動の程度意義深さや音楽の力について、どう語ればいいのかある種の躊躇を感じたが、それはつまり国連というものをよく知りもしないのに、漠然とした期待が大きすぎるからなのではないかと気が付いた。

ちくちくと針仕事をするように、ささやかながら確実に、世界各地に足をのばして美しい音楽をその国の人たちと分かち合い、人々を結び付けていく彼らの取り組みは、やはり素晴らしい。なにより多様性の中でも一つのハーモニーを生み出すには、まずは隣の人の声を正しく聴くことが大切であることを彼らの歌は教えてくれる。ちなみにプログラムの最後を飾ったのは「大地讃頌」だった。中学校の合唱コンクールの定番も、彼らが歌うとそのテーマに肉薄しているような納得感があるのか心に深く沁みた。

職員たちはニューヨークの本部で数年働いたのちに、世界の国連機関に移っていくからメンバーの入れ替わりが頻繁に行われているという。継続は力なりというけれど、きっと今まで関わっていたメンバーたちもおそらく世界各地での公演をしっかりと支えているのだろう。

この記事を書いた人 関口オーギョウチ 埼玉在住。サブカルやマイノリティがつくるコミュニティに関心あり。矯めつ眇めつそこに宿る魂に触れたいなと思ってます。 関口オーギョウチの記事をもっと読む>>