絵本で世界を旅しよう ~モンゴル編~
夏休み、海外旅行をした人も多いことでしょう。旅は見たことのない景色に出会え、違う文化に触れ、その地ならではの味覚を味わうことができます。今まで知らなかった世界を見ることで、自分の考え方が広がり、生き方を考えさせてくれます。また、そのことによって、不思議なことに自分が住んでいる土地の良さの再発見することにもつながるでしょう。
しかし、旅行は時間とお金がかかります。気軽には行くことができません。そんな時は絵本で旅をした気分に浸りませんか? 絵本を開けば、すぐにあなたはその国を旅することができますよ。さあ、絵本で世界を旅しましょう。
壮大なモンゴルの草原を旅する
モンゴルを絵本で旅するなら「スーホと白い馬」(大塚勇三 再話/ 赤羽末吉 画)がお薦めです。モンゴルといえば大相撲の白鵬、日馬富士、鶴竜が有名ですね。そして広がる大草原。そこで語り継がれている民話を再話にしています。淡々とした言葉で書かれ、それがまた胸を打ちます。
だいぶ前になりますが、私が小学生の時に国語の教科書に「スーホと白い馬」が掲載されていました。図書館で絵本を見つけ、思わず手に取りました。懐かしさに浸りながらページをめくります。
大きな横長ページに、大胆な見開きで描いています。果てしない地平線。草原におおいかぶさる大きな虹。広大な舞台で展開される競馬。場面転換ごとの色彩、色調。どれも見事です。目を閉じると、カサカサと音をたて揺れる草、土の匂い、頬を触る冷たい風を感じることができます。
この物語の主人公は、おばあさんと二人で草原に住む貧しい羊飼いの少年スーホと、彼が見つけた白い仔馬。モンゴルに昔から伝わる馬頭琴(ばとうきん)という楽器があります。その楽器が生まれた話です。話の最後は、スーホが馬頭琴を弾く場面。悲しみと愛おしさに満ちた気持ちになります。広いモンゴルの草原で羊飼いたちが、その美しい音色に耳を澄ましている姿が目に浮かびます。
文も絵も、読んだ人の心を安らかにしてくれる一冊です。
モンゴル相撲、権力者の横暴、人間と動物との関係など家族と話し合いたいテーマも詰まっています。お子様と一緒に読んで、ゆっくり話してみてはいかがでしょうか。
夏休みにお出かけしていないという方は、絵本を読んでモンゴルを旅してみませんか。