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今でも初詣や夏祭りには行きますか?〜コミュニティの作り方〜
コミュニティ コミュニティ 2018.05.09

今でも初詣や夏祭りには行きますか?〜コミュニティの作り方〜

先日、出張で首都ナイロビから高速バスで6時間以上の長旅に出かけて来ました。日本では割合、頻繁に高速バス、夜行バスを利用する自分にとっては別に大して長時間移動という感じでもないんですが、ケニアでは道路に設置されたバンプのせいでなかなか落ち着いて寝れません。

3分から5分間隔でバスが大きく揺れるので、常に意識と無意識の間を行ったり来たりという感じです。1泊2日の早すぎる打ち上げ花火のような旅行でしたが、いろんな新しい気づきがありました。

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地方の生活と都市の生活

地方ではもはや日本では見られないような典型的な自給自足の生活圏が広がっていました。家の前では牛や鶏、ヤギなどが垣根の中を歩き回り。のどかな姿が印象的です。

機械を導入した大型の農業は、ぱっと見一切見られず、ほとんどが個人やあるいは地域コミュニティ、あるいは親族同士で助け合いの中で、耕され、植えられ、収穫される小口の農地のようです。

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特に印象的だったのは子供達の数。どこに行ってもまだ就学年齢に満たない子供達が落ちているタイヤやからのペットボトルを利用して遊んでいました。

日が出れば目を覚まし、日が暮れれば床につくような自然な生活が見受けられました。そんな中で初めて体験してみたボダボダと呼ばれるバイクタクシー。若者たち(ほとんどが男性)が顧客を捕まえようと道端で待ち構えています。

ボダボダは街中でも見かけられるんですが、ヘルメットもつけないラフさや、やっぱり他に仕事場を探せないのかほとんどの若者はバイクを手に入れて現金収入を…という地方の社会構造が少し見えました。

夏祭り?秋祭り?

こちらは南半球なので、今は日本で言うところの秋のような時期に当たるんですが、(実際には現地の人たちにとっては雨季と乾季の二つしか季節は存在しない)その地域の面白いイベントに出くわしました。その地方で有名だというキリスト教会のイベント。どうやら土着の風習と合体しているようで、太鼓の音に合わせて、小躍りしながら集落を練り歩く行列が見られました。

その姿は昔、自分が地元で参加した秋の神輿祭りのよう。子供達が太鼓の音に合わせて声を上げて、小一時間街中を練り歩いていきます。終わればお菓子がもらえてまた「来年ね」というカジュアルなつながりではあるけれど、毎年毎年同じ時期にやっていたのを覚えています。

今回のイベントでも道行く人たち、すれ違った人たちも、太鼓の音に身を預け踊り出す人がみられるほどでした。きっとこの祭りでも、日本の祭りと同じような効果があって参加者全体のみならず、町中の人たちがその「ハレ」の日を楽しみ、そこから何かを学んだり、習慣として自分の人生の中に何かを残していくんだなぁと。そしてその目に見えない「何か」が人々の中に共通点として残っていきながら、一つ共同体というものができていくのかなと思います。

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共同体の作られ方

ところで、昔は人間が生きていくにおいて基本になる自分たちの身体という限界、縛りの中で生きているので、色んなところでその影響を受けてきました。このお祭りでも、太鼓の音、踊り、そして得意な衣装と言った五感に訴えかけることで人々の意識の中に同じ共通認識が植え付けられていったのではないかと思います。

現代の日本や先進国では随分とそういった身体感覚によってもたらされた共通認識よりも、知らないうちに刷り込まれたデジタルな情報が自分達の認識の基礎になっていないでしょうか?

日本では春になれば桜、いちご、夏になればスイカ、祭りや花火、秋になると芋栗南京、紅葉、冬になれば雪におこたつなどの典型的なイメージがあります。果たしてそのイメージは本当に自分たちの経験や身体感覚からくるものなのか、はたまた知らない間に刷り込まれた単なるイメージか。

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とくにメディアが発達したために、立ち寄るコンビニの雑誌や広告、漫画、テレビや映画によって作られたイメージから多大な影響を受けているなと思います。共同体とは、きっと人と人との顔の見える触れ合いをベースとしたつながりではないかと思うんですが、その身体感覚が弱ってるために「共同体」のつながりを弱くしてるのかもしれません。

何はともあれ、季節の妙味を楽しめるのが日本人の素敵な民族性だと思いますが、単に記号で満足するのではなくて、時には山に出かけ、人と触れ合い、肌で感じながら作られる共同体ってなんだか素敵ですよね。今一度、初詣や夏祭りに足を運んでみたくなりました。

この記事を書いた人 山本眞之亮 人の成長に興味を持ち、教員免許を取得するも、目下ケニアでサバイバル体験中。最近、人びとが織りなす調和と変化の妙味に、宇宙の神秘を感じてます。
ブログ :成らぬは人の為なさぬなりけり
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