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アセット 5 寄稿記事:地域コミュニティに明日はあるか 未曽有のクライシス「2025年問題」をチャンスに変える
コミュニティ コミュニティ 2018.03.12

未曽有のクライシス「2025年問題」をチャンスに変える

団塊の世代(約800万人)が75歳(後期高齢者)となり、人類が体験したことのない超・超高齢社会となるという2025年問題。3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上。これまで他人事のように思っていたが、じっくり考えると、これは未曽有のクライシスだ。2020年の東京オリンピックに目を向けがちだが、7年後に備えて、今から行動を起こしたい。

元気なお年寄りが多くなったものの、さすがに後期高齢者となると、介護を必要とする割合(約41.5%)が一気に跳ね上がる(前期高齢者は約3.5%)。7年先、要介護者が世にあふれる、という事態になりかねない。今ですら、介護職員、介護施設はぜんぜん足りていないし、“待機老人”(特別養護老人ホーム待機者)も50万人以上いる。しかも、国の財政はひっ迫しており、介護保険料アップにも限界がある。さて、どうするか。

政府は、定年退職者を引き続き働かせたり、体操させたり、要介護者になるスピードを遅らせようと必死だ。全国の中学校区に地域包括支援センターを設けて、地域で老いて看取るまでのセイフティネット(地域包括ケアシステム)を構築しようとしている。でも、客観的にみて、そのネットは2025年の津波を受け止め切れない。こんな時に南海トラフ地震に見舞われたら、日本丸は一巻の終わりだ。

2025年問題をチャンスに変えるカギは?

美しく平和な日本をこのまま破滅させるわけにはいかない。

・18歳有権者諸君、「高齢者のために、高額な介護保険料を払い続けることになってもいいですか?」

・現役サラリーマン・OL諸氏、「親が認知症になったとき、どうしますか?」

・定年退職した諸先輩、「世のため人のために、やり残したことはないですか?」

・後期高齢者の皆様、「子や孫たちを苦労させる世の中でいいですか?」

私には、大きな政府を改め、資本主義(商業主義)、個人主義の流れを変える大転換が求められているによう思えてならない。

心身の衰えや障害をネガティブに捉える人生観や社会的評価を捉え直す時期にきているのではないか。

75歳前後の人が活躍できる場の典型は町会や老人会などの地域コミュニティだ。できていたことができなくなると落ち込むし、人前に出るのも億劫になる。そうした気持ちを乗り越えて、地域の集会所や公園に出掛ける。地域をより良くするために何ができるか話し合い、行動する。車いすでも、介護スタッフ同伴でもいいではないか。

さらに、そこに若い世代も加わる。アイデアを出し、最新の情報機器を駆使して、新しい価値を創造する。極めてローカルでシンプルな発想だが、ここに2025年問題をチャンスに変えるカギがあるように思う。

これまでは、一生懸命稼いで老後に備えるという発想だった。親を高級な特別養護老人ホームに入れれば、それが最高の親孝行だと考えられていた。でも、実際は親のほとんどが近くのスーパーで買い物をし、自宅で安らかに眠りたいと思っている。そして、自分も要介護者になってみると、地域を自由に散歩したい(たとえ車いすでも)と思うようになる。

2025年問題は個人の生き方や国造りの転換を迫っている。

どうせなら、幸せに死ねて、災害時に一人の犠牲者も出ない、子供たちに希望を与える、世界一の国を作りたい。

取り組み次第では、そんな国にできると思うのだ。

「地域コミュニティに明日はあるか」
この記事を書いた人 吉原正夫 地域コミュニティが崩壊している。この流れを食い止めるには、どうしたらいいか。地域コミュニティ再生に掛けた現役町会役員の挑戦を綴る。
地域コミュニティに明日はあるか
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