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それを満たす食卓
2017.07.04

それを満たす食卓

「何を食べるか」より「誰と食べるか」が重要だ。

そんな言い回しを耳にすることがある。食は人間の土台であり、また人と人をつなぐ力だとも捉えられるわけだし、考え出すと案外どちらが本当に重要なのか、よく分からなくなってくる。

しかし最近この事について考えるにはうってつけの場所を近所にみつけた。通りにひっそり開店したハンバーガーショップだ。こんなところになぜ?と、気になってふらっと入ってみる。シンプルで飾り気のない内装。女性が個人経営してるようで、店内は洒落た雰囲気に整えられていて、せわしなくもなく客もまばら。値段も安いわけではないから客を選ぶし、流れてる空気がチェーン店とはあきらかに一線を画している。
個人的に居心地はいいけれど、こういうところはすぐに消えてしまうんだろうなとコーヒーをちびちび飲みながら、ぼーっとお客が来ないか待っていると、あきらかにスタンダードな日本人ではなさそうな客が入ってくる。どちらかといえば中東系の学生なのだろう。次は、ヒジャブを身につけた若い女性たち。この街では普段あまりみかけない層の人たちがテンポよく入ってきた。

皆常連なのか、お客同士も顔見知りのようで、挨拶をしてたりする。中東系の学生たちの溜まり場がなぜここに、という違和感を感じながら、ふと、ある文字を探した。予想に反してなかなかみつからなったが、手元のメニュー表に小さく記載されているのをみつけた。

「ハラール」

やはりイスラム教徒たちが食べる事を許されている料理を提供しているお店だったのだ。店構えがまったくそれを強調してる様子はないからか、次は日本人っぽいカップルが来店。ハラール認証ではなくハンバーガーの味を求めてリピートしました的な様子。いや、もしかするとオーガニック志向なのかもしれない。

日本人客とイスラームが半分ずつくらいの割合で利用しているっぽいこのお店は、それでも日本に暮らす若いムスリムたちのコミュニティを支えているのだなと感心した。ムスリムへの配慮としてプレイマットがサラッと置いてあったりするところも気が利いてる。
そしてなにより「何を食べるか」も「誰と食べるか」も重視している彼らのためには、いいとこ取りのハンバーガーショップだなと、近所にそんな店があることになんだか嬉しくなった。

店を出て振り向くと、たしかに小さくHALALの文字が看板に表示されてた。お店としてもあまりイスラム色が強くならないように気を使ってるようだし、それがちょうどいい客層のバランスを保っているコツなのかもしれない。

後日、ふらっと入ったときはヒジャブを身につけた女の子がバイトをしていた。注文をとり、そのうちコーヒーを運んできてくれる。ちょっと不思議な印象を受けたが、すぐに違和感は、あたりまえに変わると思う。自分にとっても、この街にとっても。

この記事を書いた人 関口オーギョウチ 埼玉在住。サブカルやマイノリティがつくるコミュニティに関心あり。矯めつ眇めつそこに宿る魂に触れたいなと思ってます。 関口オーギョウチの記事をもっと読む>>
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