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アセット 5 寄稿記事:地域コミュニティに明日はあるか 裁き合いのコミュニティから抜け出すには「イベントではなく運営システムの再構築」かも
コミュニティ コミュニティ 2018.05.26

裁き合いのコミュニティから抜け出すには「イベントではなく運営システムの再構築」かも

「二丁目は大変だね」。町会連合会総会の時、ベテランの元町会長(以下、翁さん)に声を掛けられた。どうやら、二丁目は端から見ても大変に映るみたいだ。

翁さんは戸田市46町会の全体を見渡せる仕事をしていた方。率直に聞いてみた。「二丁目はいつから大変になったのですか?」。翁さんの話を聞いて、納得した。なんのことはない、ずっと以前から、うちの町会は大変だったのだ。

翁さんによると、二丁目にはもともと土地の人が少なかった。最初は土地の人が頑張っていたが、いつしか土地の人が町会長にならなくなった。そのあたりから町会運営が大変になった。確かに、土地の人なら、親戚や同級生、地元業者、市役所などとの協力関係が得やすく、町会運営もやりやすい。

歯車

イベントによるコミュニティ立て直しという方向性

土地の人が手を引いてから苦しくなった、との話に、私の代から苦しくなったのではないのかぁ、とホッとした。と同時に、町会を立て直す方向性が定まった。

これまでは、町会行事を多数主催し、それに参加してもらった方の中から協力者(役員になってくれそうな人)を増やそう、という方針でやってきた。でも、これは改めざるを得ない。

実際に、行事に参加してくれても主催者側に回ってくれる人は皆無。行事をやろうにも、スタッフが集まらなくなった。みんな共働きになり、心身ともに余裕がなくなっている。そのうえ、協力すると余計な負担を押し付けられるのではないかという恐怖心から二の足を踏む。

いつの間にか裁き合いのコミュニティに

土地の人が少ないわけだから、この土地に対する愛着心や郷土愛も少ない。必然性を感じない義務やしがらみはなるべく避けたいし、町会行事を主催する側に回るなど考えが及びもしない。児童の見守り、ゴミ出し、防犯・防災の面で「町会には入っておいたほうがいいだろう」程度のアイデンティティで結びついているに過ぎない。

かつて土地の人が頑張って建てた会館、整備した規約、揃えた備品、構築した仕組み…。土地の人が手を引き、長い年月が過ぎる中、引き継ぎがおろそかになり、それぞれの老朽化も進んだ。仕組みは時代にそぐわなくなった。

改革はなされず「これまではこうだった」「他の町会(土地の人が主流)はああやっている」という尺度で無理無理にやってきた。その結果、押し付け、人任せ、裁き合いのコミュニティになってしまったのではないだろうか。

ギア

運営システムを再構築してコミュニティをまわす

今、うちの町会に必要なことは、イベントをやることではなく、町会運営のシステムを再整備することだ。

・正確な町会員数が把握できていない

・広報誌のちゃんと配布できない

・回覧板が回っていない(読まれていない)

・町会費や募金の集金が滞ってしまう

・災害物資の注文書が回収されない

・保険加入の申請が間に合わない

書き出せばキリがないが、とにかく一つ一つの作業がスムーズに行われず、ストレスを生む状況なのだ。

水車

班を立て直し、組を立て直し、当たり前のことが当たり前にできるようにシステムを再構築する。納涼祭などの行事を主催するのはそれからだ。

ストレスなく情報共有や意思疎通が図れれば、次のステップに行ける。町会はまんざらでもないな→居心地がいいな→集まりたいな→みんなで何かやりたいネ、と。

広報仕分け(作業)に次いで、防犯パトロールの参加者も増えた(3人→5人)。いい流れになりつつある。

ストレスを生む障害を取り除けば、車は回り始める。見えてきたぞ!

寄稿元:地域コミュニティに明日はあるか

この記事を書いた人 吉原正夫 地域コミュニティが崩壊している。この流れを食い止めるには、どうしたらいいか。地域コミュニティ再生に掛けた現役町会役員の挑戦を綴る。
地域コミュニティに明日はあるか
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