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今までどおりじゃダメ?改革の障害となりかねない「固定観念」に注意して若手を育てる「老益」に。
コミュニティ コミュニティ 2018.04.22

今までどおりじゃダメ?改革の障害となりかねない「固定観念」に注意して若手を育てる「老益」に。

日曜の夜、新旧役員会を開催した。集まった新班長たちの多くは30代後半〜40代前半とおぼしき若い世代。「若い」って素晴らしい。その柔軟性、感度の良さには感嘆させられた。この若さに、年配の方々が付いていけるだろうかと、ふと気になった。

町会の喫緊課題は町会の立て直し。役員不足で町会運営が危機的状況にある。

新旧役員会には、危機を示す資料を配布する予定でいた。ところが、コピーを頼んだ役員が欠席し、資料もパー。開始早々、年配の役員から突っ込みが入った。

「新旧役員会は定期総会に提出する事業計画案や予算案とかを前もって了承してもらうためにやる会議ではないのか!」
「資料がないなんて、考えられない!」

反論の余地なし。

ただ、これが紛れもない、今の町会の実情である。情報が伝わらない、参加してもらえない、動いてもらえない。とにかく、ないない尽くし。

ぶっちゃけ、形ばかりの了承ごとに貴重な時間を割いていられない。事業報告から役員案まで、こまごまと説明していたら、1時間30分なんてアッという間に過ぎてしまう。それより何より危機的状況を変えるための策を話し合い、早々に改革に着手したい。

新旧役員会は班長の集まる、またとないチャンス。決めてもらいたいことがたくさんある。
・広報誌の配布方法
・役員会の開催日時
・募金の是非
・防犯パトロールの実施日
・運動会協力の有無

司会者が議題を提示すると、新班長から次々に質問が挙がった。
「広報誌を会館に取りに行けない場合は、どうすればいいですか?」
「四件の募金を一度に集金するとしたら、領収書の発行はどうすればいいですか?」
「町会予算から募金を出すことにしたら、善意に基づく募金にはならないのではないですか?」

質疑応答を経た後、挙手による多数決。次々に方針が決まっていった。
・役員会の開催日…日曜日→金曜日
・広報誌の配布…組長が班長に配布→班長が会館まで取りに行く
・防犯パトロール実施日…水曜日→金曜日
・募金件数…四件→三件→四件を一度に集金→四件を個々に集金(議論の末、昨年同様に)

これまで続けてきた、無理のあるやり方が“実務者仕様”に変わっていく。より参加しやすいように、より効率的に。思わぬ展開だ。まるで眠っていた龍が目を覚ましたかのように、班長たちが“動き出した”。

新旧役員会の翌日、欠席した年配の役員(仮称・次郎さん)と会った。そこで、会議の結果を伝えた。

「そんなこと、勝手に決めていいのか!」

次郎さんは困惑した表情を浮かべ、抵抗感を露わにする。
次郎さんの言う「勝手に」は「地元の名士や元役員の声を聞かないで」という意味。若い人たちだけで決めるのが容認できない。次郎さんをはじめ、年配の方々には「このままだと町会が立ち行かなくなる」ということよりも「従来のやり方を変える」ということのほうが大問題なのだ。

自分たち(自分たちの親たち)が町会を築いてきたという自負があるからなのか、若い世代を信じていないからなのか、改革には消極的。

年配者と一括にするのは良くない。ただ、大なり小なり、年配者のこだわりは若い世代には通用しない。その固定観念は障害となりかねない。

町会を潰さないためには、改革は避けられない。新班長たちと、力を合わせて改革を進めたい。今期はなんか、やれそうな気がする。

地域コミュニティに明日はあるか
この記事を書いた人 吉原正夫 地域コミュニティが崩壊している。この流れを食い止めるには、どうしたらいいか。地域コミュニティ再生に掛けた現役町会役員の挑戦を綴る。
地域コミュニティに明日はあるか
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