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まるで現代の参勤交代!力を吸い取られていく地域コミュニティの夏
コミュニティ コミュニティ 2018.06.13

まるで現代の参勤交代!力を吸い取られていく地域コミュニティの夏

納涼祭をやるか、やらないか。役員会で話し合った。判断材料は以下の通り。

・納涼祭アンケートで「やったほうがいい」との回答は42世帯(「やらなくてもいい」との回答は53世帯)

・「協力できる」と答えた人は14人(うちフルに協力できる人は数人)

・アンケートの回答率25%(75%の人はアンケートにすら応じていない)

・納涼祭について話し合う役員会の出席者9人

さて、こういった状況で納涼祭をやれるだろうか…。

納涼祭①

必要になる人的・物的準備

努めて前向きに話し合った。

「子供たちのためにはやってあげたい」

「納涼祭をやらないと、もはや町会じゃない」

「声を掛けていくと、さらに何人かは協力してくれるかもしれない」

納涼祭にどれだけの人的・物的準備が必要か。過去の事例を説明すると、議論は湿り始めた。本当に必要な「協力」とは祭り当日に、出店で店番をやったり、子供神輿の補導をしたりすることではない。

買い出しだったり、役所への届け出だったり、人集めだったり、トラックを借りてきて資材を運んだり、反省会の食事を準備したり…。

独りで買い出しや電話掛けをやってごらんなさい。その虚しいこと、虚しいこと。

しかも、非協力的なムードの強い中、下手なことをやると、冷たい視線を浴びせられる。褒める人は誰一人としていない。過去と比べて「昔はこうだったのに、あの様はなんだ!」と批判するだけだ。

納涼祭②

「14人では、やれないね」

話し合いの結果、今年度は「納涼祭開催を見合わせる」という結論になった。

誰のせいでもない、条件が整わないのだ。

当初、私はアンケートにすら答えてくれない町会員の非協力性に怒りを覚えていた。でも、先日、町会長会議で、ある長老の町会長の話を聞いて、考えが変わった。長老曰く、

「日本の税法は官僚組織を強化するようにできている。官僚たちは税を取ることばかり考えていて、国民の所得水準は全く伸びていない。国民は疲弊する一方で一億総貧乏化している。このままだともっと町会は難しくなる」

その通りだ。町会員は悪くない。町会を苦しめている官僚が悪いのだ。

三世代が同居できる土地・建物を持てないから核家族化が進行。

夫婦共働きで働かざるを得ず余裕がない。

仕事中心の生活で、地域活動どころではない。

家庭が不安定で母子家庭、子供の貧困が増えている。

お年寄りも年金が少ないため働かざるを得ない。

なのに、税金や年金、生活コストは上がり続けている。

納涼祭③

吸い取られていくパワー

そりゃあ、納涼祭がやれるならやりたい。でも、今はそれどころではない。地域のコミュニケーションをはかるのも大事だが、忙しすぎて家族の会話すらままならなくなっている。

土日に働いている人も多く、地域全体の祭りにはなりにくい。子供たちに「納涼祭やってるから行ってきたら」とは言えても、それを自分が企画・運営するなんて、とてもとても無理なのだ。

国民は疲弊している。地域コミュニティを形成するパワーが吸い取られている。

徳川幕府と大して変わらない“官僚封建主義”こそが問題なのだ。

寄稿元:地域コミュニティに明日はあるか

この記事を書いた人 吉原正夫 地域コミュニティが崩壊している。この流れを食い止めるには、どうしたらいいか。地域コミュニティ再生に掛けた現役町会役員の挑戦を綴る。
地域コミュニティに明日はあるか
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