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アセット 5 寄稿記事:地域コミュニティに明日はあるか “町会の寝たきり”「廃用症候群」になるのを防ぐ
コミュニティ コミュニティ 2018.04.01

“町会の寝たきり”「廃用症候群」になるのを防ぐ

戸田市の平均年齢は40.2歳。埼玉県で最も若い市だ。

3/25の市長選により、42歳の新市長が誕生した。「戸田=若い」というイメージはさらに加速するだろう。ただ、こと町会について言えば、役員の平均年齢は決して若くない。ざっと見渡して、どの町会も65歳を上回っていることだろう。悪いと言っているのではない。むしろ、65歳以上の年齢層が町会役員になるのが望ましい、と私は思っている。これには理由がある。

年を取ると、体力が衰え、計算力、暗記力、集中力といった「流動性知能因子」がめっきり衰える。ところが、経験を伴う専門性や生活習慣、趣味の深みといった「結晶性知能因子」は加齢の影響を受けることがなく発揮される(もちろん個人差はある)。町会運営には、事を丸く収める力、三世代を抱擁する力、「年の功」、「おばあちゃんの知恵」といった経験知が欠かせない。だから、高齢者が適任なのだ。

日常的に心と体を使う生活

また、高齢者が社会参加するための機関として、町会の存在意義が再評価されている。高齢者が認知症や寝たきりになると、家庭に負担がかかり、ひいては社会の重荷となる。そうならないためには、日常的に心と体を使わなければならない。ただ散歩やカラオケ、グランドゴルフばかりでは続かない。「自分が必要とされている」といったコミュニティにおける生きがいを感じてもらったほうがいいのだ。

うちの町会役員の平均年齢は55歳位。比較的若い。これは褒められる話ではなく、世代間の継承がうまくいかず、欠員だらけの役員席をサラリーマンが埋めているに過ぎない。役員会の出席率は1割にも満たず、町会行事もまともにできない状況。組織として、また機能としてみると“老人”そのものなのだ。

使わない機能が次々低下していく

特にやることがなくて、家でボーとテレビを観ていたり、ゴロゴロ寝てばかりいると、運動機能が低下する。さらに衰えると、内臓機能や精神機能も悪化していく。このように使わない機能が次々低下していく状態のことを廃用症候群(別名「生活不活発病」)という。うちの町会もこのままだと“不活発病”になってしまう。

町会のイベントはしばらく控えて、広報を配り、募金を集めるだけに留めておこう―。

いつの日か、「何かやろうよ」と言い出す人たちも出てくるさあ―。

あわてない、あわてない、一休み、一休み。こんなふうに、ちょっと投げやりになっていた。

でも、機能させないと、“寝たきり”になる。何かやらざるを得ない。

とにかく役員会をやろう。一人でも多くの人に会館まで足を運んでもらおう。その足で、社会参加の敷居を跨いでもらうのだ。

地域コミュニティに明日はあるか
この記事を書いた人 吉原正夫 地域コミュニティが崩壊している。この流れを食い止めるには、どうしたらいいか。地域コミュニティ再生に掛けた現役町会役員の挑戦を綴る。
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