「キュアとケア」教師免許に「介護体験」は必須だけど、医師免許にも導入してみてはどうだろうか
はじめに
教師になるためには実際に高齢者介護施設に行って介護体験するのが必須になっています。
「ノーマライゼーションはとっても大切!」教職に介護体験がなぜ必要なのか、考えてみた。
でも、教師よりも医師の方が高齢者と接する機会は多いのに、医師免許にはその「介護体験」がありません。
医師と介護職との連携が大切だといわれる今、絶対やった方がいいはず・・・
今回は「医師免許にも介護体験を導入してみてはどうか」というテーマで考えていきます。
医師こそ介護の視点を学ぶべきではないだろうか
まずは医師になるためにはどうすればいいのでしょうか。
そのルートを見ていきます。
<医師へのルート>
1、高校を卒業する
↓
2、医科大学や医学部のある大学で6年間学ぶ
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3、医師国家試験に合格する
↓
4、病院で研修医として2年以上の経験を積む
↓
5、医師として病院などに就職
ご覧のとおり、医師になるルートでは「介護体験」はありません。
しかし、日本は高齢化率も25%以上も超える社会です。
高齢者に寄り添ってあげる「介護」の視点も求められるのではないでしょうか。
医療では寿命には勝てない
私たちは歳をとるほど、体が衰えていきます。
視力が弱ったり、耳が遠くなったり、足が動かなくなったり、物覚えも悪くなります。
高齢化する日本はそんなハンディキャップを持った人たちが増えていく社会です。
しかし、医師は風邪やインフルエンザのような細菌やウィルスによる病気は治せますが、このような老化による機能低下、障がいは治すことができません。
つまり、医療は寿命に勝てないのです。
病気を治す「キュア」よりも治せないハンディキャップを支える「ケア」の視点が今の医療に求められているはずです。
だからこそ、その一歩として、医師は高齢者介護施設で「介護」を体験して「ケア」の視点を学ぶべきだと思います。
介護体験は「ノーマライゼーション」を学ぶためにある
福祉用語にハンク・ミケルセンが提唱した「ノーマライゼーション」という言葉をご存知でしょうか。
これは健常者だけでなく、障がい者や高齢者などの人もふつうに暮らすことを指します。
ノーマライゼーションの実現には、まず障害がある人に接する体験によって、健常者である「自分」と、障がいのある「相手」の違いに気づくことが大切です。
介護体験では様々なハンディキャップを持つ人を見ることで、その不自由さから、自分が五体満足で動ける「ありがたさ」に気づくことができます。
ノーマライゼーションを実現するために、医師がそのギャップに気づき、ギャップをどう埋めていくか考えていくプロセスにつなげる・・・
それが「介護体験」の大切な役割です。
また、ハンディキャップを知り、体感することは高齢者との関係にも良い影響を与えます。
コミュニケーションを学ぶ上でも「介護体験」には大切な意義があると思います。
最後に
今回は医師にも介護体験が必要ではという内容でお話しました。
今回、記事で登場したハンク・ミケルセンの「ノーマライゼーション」は第30回社会福祉士の試験でも出題されました。
ノーマライゼーションは本当に素晴らしい概念なので、医師だけでなく社会福祉士または勉強中の方は深く学んでほしいと思うくらいです。