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ドイツ人留学生Aを想う
コミュニケーション 2017.07.07

ドイツ人留学生Aを想う

一昨年、某国際交流協会から依頼を受け、ドイツ人の女子高校生を我が家に1ヶ月間ホームステイさせたことがありました。
ドイツ第4の都市ケルンからやってきたAは、当時15歳の高校1年生。金髪に青い瞳、身長は既に私より高く、物静かで大人びた子でした。

事前の情報では、英語が得意な上に日本語を1年間学んでいるということで、カタコトの日本語でコミュニケーションが取れるならば、というくらいの気持ちで受け入れを決めたのですが、いざ迎えてみたら驚くことに、日本語は「コンニチハ」「アリガトウ」のたった2つのみ。
結局ドイツ語を全く解しない私は、Aと日本語と英語で四苦八苦しながらやりとりする生活をスタートさせたのです。

外国人と一緒に暮らしてみると、生活上の些細な差によく気づかされるもので、文化の違いは毎日の発見でした。
また、日本の首都東京に来たのだから、どこに行きたいかと尋ねた時も、浅草やスカイツリー、皇居や国会議事堂を思い浮かべた私に対し、彼女の口から出たのは、ティーンエイジャーらしく本国ドイツで見聞きした日本のカルチャーのメッカ“渋谷のタワーレコード”や“スクランブル交差点”、“原宿の竹下通り”に“新大久保のコリアンタウン”でした。
こうして日本の文化的または歴史的ランドマークには興味を示さなかったAですが、新宿や渋谷の街には何度も足を運んだようです。
きっと、彼女にとっては、新宿や渋谷こそが“TOKYOらしさ”や“COOL JAPAN”を最も体現している場所だったのでしょう。Aとタワレコに行った時の彼女は青い瞳をキラキラさせて、心から嬉しそうでした。

我が家での滞在を終え、他のホームステイ先に移った10か月後、Aから「帰国することになった」という連絡を受け再会しました。その時は、日本語がびっくりする程話せるようになっていて、とても驚きました。
今後はギムナジウムに戻り、卒業後日本の大学に進学したいと目を輝かせながら夢を語るA。この時のキラキラした目は、渋谷のタワレコで嬉しそうに眺めていた時と変わらぬ輝きでした。

日本を好きでいてくれることと、日本通になることは別物。でも、もしかしたらAのような子ほど、将来ドイツと日本の架け橋になるのかもしれません。

日本の「文化」が心から好きだという思いは、きっといつか何かにつながると思うのです。そして、こんなことを想う私もまた、この先もずっとAとはつながっていく気がします。

この記事を書いた人 おおつかけいこ 教師歴10年の経験をもつ教育者。ライティングの「ものかき」でマネージャーを務めるほか幼児教室も主宰 おおつかけいこの記事をもっと読む>>
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