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手紙とSNS、五感との関係
コミュニケーション コミュニケーション 2017.08.22

手紙とSNS、五感との関係

SNSがこれほど普及している時代にも関わらず、肝心なことを伝えたい時に手紙を書くことは、まだまだ健在だ。
相手によっては、SNSでつながるよりも、手紙を交わす関係そのものが心地よく長続きする場合がある。おそらく手紙は、人と人との程よい距離感を保ってくれるからだろう。

一方で、学生の頃の友人、就職してからの同僚、そしてママ友等々、出会う度にSNSを始めては、頻繁に連絡を取り合う時は取り合う。そういう意味ではSNSは距離感がないというか、いきなり距離感が狭まったように感じる。なんといってもSNSは、スマホ1台で世界中の誰とでもつながることができる。

それでは、コミュニケーションツールとしてより相手に伝わり、つながることが可能なのはどちらだろうか。
手紙派が時代と共に少なくなっている可能性は、この情報化社会では否定できない。
にもかかわらず、その利便性を差し引いても手紙を選択するのは、さらに強い理由が必要になってくる。
これは、もしかしたら電子書籍と紙の書籍のどちらが好きかという感覚に似ているかもしれない。
断然電子書籍派もいるだろうし、「手に持った感じがいい」という理由で紙派もいるだろう。
私自身はiPadで本も読むし、紙の書籍も読むので、目的別に使い分けする派だ。
しかし直接手にした方がどうしても記憶に残る傾向がある。
おそらく、より五感を使って読めるのは紙の書籍だろうと思うのだが、手紙も同様に感じている。

人が誰かのことを考えながら文章を書き、時には季節を感じる切手や便箋を選ぶのは、デジタルでは変換不可能な心遣いや、書いた相手の気配まで忍ばせることができるから、やはり手紙を書く行為は個人的にはSNSには代えがたいと思う。
映画「ハンニバル」では、レクター博士が送った手紙から微かに放たれていた微かな香りから、ヨーロッパ製の特注品であることがわかり、主人公クラリスが居場所を突き止めようとイタリアへ飛ぶくだりは、もちろん博士からの招待状替わりとも言えるのだが、このように自分の香りを手紙と共に届けるという粋な罠を仕掛けられるのも紙だからこそ。五感を使う手紙のやりとりは、デジタルな世界では決してできない。
やはり紙贔屓の私は手紙に軍配が…と、昨年までは思っていた。

しかし最近、科学技術の目覚ましい進歩に驚かされた。
今やバーチャルリアリティゲームの世界では、感触や匂い、風までも脳への刺激で再現できる時代になったらしいのだ。
なんてことだ。そのうちSNSで自分の香りまで送れる時代が来るのかもしれない。

この記事を書いた人 おおつかけいこ 教師歴10年の経験をもつ教育者。ライティングの「ものかき」でマネージャーを務めるほか幼児教室も主宰 おおつかけいこの記事をもっと読む>> 最新記事を毎日お届け
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