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イベントレポート:シビックエコノミーから見る、釜援隊のこれまでと、これから
コミュニティ コミュニティ 2017.06.08

イベントレポート:シビックエコノミーから見る、釜援隊のこれまでと、これから

これからの地域コミュニティのあり方とはどんなものだろう?市域の活性化のために私たちは何ができるだろう?

そんな疑問の答えになるかもしれない活動をしている釜援隊の「シビックエコノミーから見る、釜援隊のこれまでと、これから」というイベントに参加してきました。

釜援隊についての詳細は以下のリンクから確認していただければと思いますが、簡単に説明すると東日本大震災で被害を受けた釜石市を地域の人々が主体となって復興できるように支援している団体です。 ただの支援ではなく、「黒衣」という立場に徹し自分たちがいなくなった後でも地域が活性化し続ける形を作ることを目指している、というところが他の類似団体とは違う面白いところです。

釜援隊公式サイト

そんな釜援隊のイベントということで、地域コミュニティについて面白い話が聞けそうと思い行って参りました。

イベントが行われたのはNagatacho GRIDという場所です。

Nagatacho GRID

イベント前に手書きの案内版が。なんだが親近感が湧いて良いですね。筆者は人見知りなので、これだけでもちょっと安心します。

40分ぐらい前に到着。ちょっと早めだったのでまだ席は空いていました。会場は、綺麗で開放感があります。前の席に促されましたが真正面から写真をバシャバシャ撮る奴ってなんかヤダなと思い1つ後ろの席へ。

それぞれの席に置いてあった資料。今日の発表資料と釜援隊メンバーの紹介資料、「釜援隊がゆく」という新聞形式の読み物が入っていました。

なかなか読み応えのある「釜援隊がゆく」を読みつつ待っていると、かなり人も集まってきました。コミュニティや地域社会について考える人がたくさんいるんだなと関心してしまいます。

19時からいよいよイベントが始まりました。

まず初めに釜援隊がテレビで紹介された時の映像が上映されました。

釜援隊の活動が特徴的なのは、あくまでも自分たちは「黒衣」であり主役は地域の人という考え方です。また、定住することも無いので自分たちがいなくなっても活動が続いていく状態を作るのが釜援隊の役割ということでした。

これはチーム作りやコミュニティ作り、経営においても同じことが言えそうだと思いました。主役はあくまでもメンバーや社員でありリーダーや上司はそれをサポートする「黒衣」であるべきで、上の立場の人間が自分を主役にしてしまうと、その人物がいなくなった時に「ジブリ」や「Apple」のように自走のおぼつかないチームが残されるだけになってしまうのではないでしょうか。

そんなことをごちゃごちゃ考えているうちに映像は終了。もうすでに色々考えさせられて為になった感じもしますがこれからが本番です。

改めて釜援隊と今日のタイムスケジュールを紹介されます。おもしろおかしく紹介が進みフレンドリーな雰囲気が流れています。

最初のセッションである「シビックエコノミーがもたらす共生社会のかたち」を発表される江口晋太朗さんが登壇されました。この方はシビックエコノミーについての書籍も出版されているそうで私もあとで読んでみようと思います。

日本のシビックエコノミー―私たちが小さな経済を生み出す方法(単行本)

ヨーロッパではチーム作りやコミュニティについて何か進んでいる感覚がありますが、ここでもヨーロッパでの事例を元に「シビックプライド」についての説明がありました。シビックプライドとは、都市に対する誇りや愛着を表す言葉らしいですが、それだけではなく当事者意識を持ってどうやったら自分の街を良くできるだろう?と行動を起こしていく気持ちということらしいです。

次にオープンという言葉について説明がありました。オープンという言葉には解き放つという意味もありますが、それには使い方や目的も制限せず使う側に委ねるという意味もあるとのこと。トップダウンで決められたことをやっていくのではなく、ボトムアップでそれぞれが何ができるかを考えて活動しましょう、というのがオープンな活動ではないかという説明でした。

次にシビックエコノミーについての説明に入っていきました。まずエコノミーとは?というところから。エコノミーというと飛行機の安い席のイメージが強くてピンとこなかったりしますが、その語源から意味を考えていくとなるほどなーとなります。エコノミーの語源はギリシャ語のοικονομία(オイコノミア)という言葉で「共同体」や「共同体のあり方を考える」という意味があるそうです。なので「エコノミー」=「経済」という意味がありますが、その内面には「共同体とはどうあるべきか」を考えるという思い、意味があるということらしいです。

そして、シビックには「市民の」「公民の」という意味があります。つまりシビックエコノミーとは「私たち一人一人ができる地域社会を良くする為に行うあらゆるオープンな取り組み」ということだそうです。

シビックエコノミー的な町を題材にした書籍も紹介されました。日本から突如独立を宣言した村のお話です。紹介の時にはそんな印象はなかったのですが、後から調べるとSFとコメディが混ざった面白い読み物みたいなので興味がある方は読んでみてはいかがでしょうか?

吉里吉里人(新潮文庫) 文庫 – 1985/9/27

日本の工業デザイナーである秋岡芳夫さんの紹介もありました。この方は「暮らしのためのデザイン」を掲げ、作り手と使い手が仲良くなって、いいものを作り、いいものを使おう、ということを言っておられる方で「作り手と使い手のエコノミー」という形で紹介されていました。私もITの世界でUXという似たような考え方を学んでいたのでとても親近感が湧きました。

最後に「開発(かいほつ)」という言葉について話されていました。最初「かいほつ」は誤字かな?と思っていたのですが、開発は「かいほつ」とも読むそうですね。「かいほつ」は、もともと仏教用語で、仏性を開き発せしめることだそうです。自分自身の中にある可能性や潜在能力それに気づくこと。そう考えると街の開発、地域開発というのはその地域に住む「人」の可能性や潜在能力にどう気づいて育てていくか、ということなのではないかというお話でした。

次のセッションでは釜援隊の説明と取り組みをより詳細に紹介されました。

詳しい話はこの記事の最後に掲載する動画や公式サイトを見ていただければと思いますが、印象に残ったのは変化し続けるニーズに合わせて釜援隊も変化していくという部分で、これからのチーム、コミュニティ、会社にも必要な姿勢だなと感じました。

次に釜援隊の方達と江口晋太朗を含めたパネルディスカッションが行われました。

みなさん、釜石市に何かしたいという思いで仕事をやめて参加されていて素直にすごいなと思います。

釜援隊はあくまでフリーランスということで、かなり自由な活動が認められているようです。そこらへんもシビックエコノミーのセッションで言われていたオープンでエコノミーな活動なのかなと思います。何か指示されてやるのではなく自分で考えて行動していくという姿勢を徹底しているのはすごいところですね。

いかに地域社会の人々に寄り添って、もどかしいことがあっても見守っていく。この姿勢はいろんな経営者やリーダーにも見習ってほしい視点だなと改めて思います。黒衣に徹するというコンセプトがはっきりしているのも、一貫した活動ができるポイントなのかもしれません。

仕事と違って数値で結果がはっきり分かる訳では無いというのも面白いところでした。仕事となるとどうしてもお金を見てしまい、本質からズレてしまうことはよくあります。ですが、そうではなくて活動のプロセスによる教訓だったり、数値に現れない明るい雰囲気や絆、人の可能性を見つけ出すなどの目に見えづらい部分が結果となっていく活動。そんな活動だからこそ、本質からズレにくいというのもあるかもしれません。しかし本来は仕事、ビジネスであってもそうあってほしいなと私は思います。

最後、釜援隊の採用説明ということで新たに2名の方の募集要項の説明をされていました。研修制度や1人1人無理のない仕事プランを立てることができるそうです。また、ある程度自分で考えて自分で動くということができるので人としてもかなり成長することができるのではないでしょうか。

また、釜援隊に参加している方の話ではGoogleのような7:3ルールなどもあり、地域社会に黒衣として貢献しながらも業務のうち3割は自分の好きなことや自己実現のためにやりたいことができるそうです。

興味のある方は以下の採用リンクから詳細を見てみてください。

釜援隊採用情報まちと水産業の復興を目指す行政・NPO・住民の調整役。「釜援隊」第六期募集!

以上でセッションは終わりでしたが、この後から懇親会がありました。私は用事があり参加できませんでしたが、次回同じようなイベントがあればぜひ参加して色々な方と話をしてみたいと思います。

1時間ほどの短いイベントでしたが、釜援隊の活動や考え方、シビックエコノミーについてのお話などかなり濃ゆい内容が凝縮されていてとても学びのあるイベントでした。短い時間でしたので、深く理解するというところまではいけませんでしたが、新しい言葉や考え方を色々聞いて、さらに自分で調べて学んでみる、というのがこういうイベントの醍醐味かもしれませんね。

今回のイベントに興味のある方はYoutubeの方に動画がアップされているのでそちらもご覧になって見てください。

釜援隊公式サイト
この記事を書いた人 コミュシル編集部 コミュシル編集部です。記事を通してコミュシルがもっと人と人を繋げる場になるように日々頑張っています。 コミュシル編集部の記事をもっと読む>> 最新記事を毎日お届け
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