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女友達からママ友達へ
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女友達からママ友達へ

「あっ、今日大人の誰かと話したの初めて」
数か月前に赤ちゃんを出産したばかりの女友達が、遊びに来たときに放った何気ない言葉に、私は自分も同じことを言った過去を思い出した。

彼女は、待望の第一子を出産後、育児休暇を取り初めての育児に全力投球中の日々を送っている。パートナーは朝早く仕事に出かけ、そして夜遅く帰宅するため、彼女は一人で子育てと家事をこなしているそうだ。

近頃では、0歳の我が子がよく笑うからと、前から興味のあった知育遊びも始めたそうで、彼女の生活は小さな我が子にかかりっきりになっている。
まさに、“地球は我が子で回っている“。

「子どもは本当にかわいいよね。でも…」
「でも?」
思わず私は聞き返すと、彼女は目にかかった長めの前髪を指で横に流しながら、
「乳児健診や予防接種で外出する以外は、まだそんなに長時間の外出ができないから、ずっと家にこの子と二人で籠っていて、なんだか煮詰まっちゃう時があるの」
と、ため息をついた。

「出産後、一度もヘアサロンに行けてなくて、髪も伸び放題だし、産後すぐに動きすぎちゃったせいなのか、体調もまだ完全に戻らないのよね。こんな状態なんだけど、この子最近夜泣きが始まっちゃって。全然眠れないのも、また身体にこたえるのよ」

このような悩みは、おそらく出産し、赤ちゃんと生活したことがある人であれば、「うんうん、わかる」「うちもそんな時期あったなぁ」と共感できる、誰もが通る道。
でも子育ての渦中にいる時は、いつ出口が見つかるのかわからずに途方に暮れてしまう時があるもの。

乳児を育てるママというのは、実は周囲が思っているよりもずっと孤独で、悩みをうまく外に出せない状況にあることが多い。人と会って話すことも極端になくなるのだから、無理もないのだと思う。

私たちは、とにかく久々に話し、くだらないことで笑い、子どもの成長ネタで頷き合い、過ごした。言葉と言葉のやりとり“会話”をするだけで、彼女の疲れた表情はどんどん明るくなっていくのがわかった。

彼女は、不安だったのだ。

生まれて初めての子育てを、一生懸命真剣にやればやる程自分の世界が小さく狭まっていくような感覚に陥り、本来の自分を取り戻しに来たのだと思った。

やがて、会話ですっかり表情がほぐれた彼女は、また本来の明るい彼女に戻っていた。

「いろいろ聞いてくれてありがと。そろそろこの子のお風呂と離乳食の時間もあるから、帰るね」
そう言うと、抱っこ紐を使い、ささっと手慣れた様子で赤ちゃんを抱っこすると、彼女は帰っていった。あんなに手早く抱っこ紐を使えるようになった様子を見て、私は改めて彼女が“女友達”から“ママ友達”になったことを知った。

そう、これからは育児を頑張り合う友なのだ。
友のつながりも、また一段変化した気がした。

この記事を書いた人 おおつかけいこ 教師歴10年の経験をもつ教育者。ライティングの「ものかき」でマネージャーを務めるほか幼児教室も主宰 おおつかけいこの記事をもっと読む>>