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どれだけおもしろく語れるか
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どれだけおもしろく語れるか

とある会社の新卒者の面接官をしている知人に会った。
私は子ども向けのマナー講座を設けている関係で、最近の大学生のマナー状況について聞きたかったのが、そもそものきっかけだった。

でも私たちの話は全く違う方向へ逸れ、その話はとても興味深かった。

その人曰く、大学生を面接してみると、皆一同に面接の練習をしっかりして来るそうで、学生時代の成功経験などを、実に自信溢れる態度で話すのだそうだ。
そこで、その人は大学生時代から高校生、中学生、小学生と時間を遡って聞くという。

理由は、昔のことになればなる程、人は嘘がつけないからなのだそうだ。

大学生時代の話には、〇〇を成し遂げた自分や世界一周したタフな自分等、多かれ少なかれストーリーが「「盛られている」部分がある。
ところが昔のことになると、装飾前のその人特有の「素」が出てくるそうで、人間性がチラチラと見えてくるらしい。当然だ。小学校から大学まで自分の全人生を盛りに盛ったストーリーを用意する学生なんて普通いない。

自分が教員採用試験の2次で面接を受けた時は、架空の児童2名が目の前で言い争いをしたところに出くわした設定で、面接官達の前でその二人を仲裁するように(演技を)要求されたものだが、そんな演技とは訳が違う。
しかし、この知人は実際に面接では、そういうところを見ているのだという。仮に、私が面接を受けたならば、自分の自覚がないうちに素を見られているのかと思った途端、自分の声がなんだか小さくなっていくのを感じた。

そして、ここからが肝心である。

なぜそんなことを聞いているのかということだ。

その人は、なにも学生の人生を根掘り葉掘り詮索したいのではない。
その人が探しているのは、学生が過去を遡る過程で甦った人生の困難だった体験を、いかにおもしろく話せるのか、そのコミュニケーションスキルを見ているという。

不幸なことや困難なことを言葉でそのまま伝えるということは、心理的なバリアを取り除けば可能だが、その経験を本当の意味で消化し、さらにはユーモラスに自分の人生に肉付けし語れるかは、その人のコミュニケーション力がよく表れるという。

それまでの自分の人生において、真正面から自分自身と向き合ってきたのかどうか、過去の自分との対話が必要かもしれないと、この歳にして思わされる話だった。

これを聞いて、ふと思い出した。
私の周りにもいた、驚くほど過酷でありえない出来事を、品格あるユーモアと笑いで話せる知人。

一人は某会社の社長を務めた人で、もう一人は都内で飲食店とアパレルを展開した人だった。彼らとまではいかずとも、「人生楽ありゃ、苦もあるさ、アハハ」と、自分を語れる人間に、なれるものならなってみたい。

この記事を書いた人 おおつかけいこ 教師歴10年の経験をもつ教育者。ライティングの「ものかき」でマネージャーを務めるほか幼児教室も主宰 おおつかけいこの記事をもっと読む>>