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母の終活
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母の終活

先日、母に電話をしたら、長らく飼っていたペットの死をきっかけに、ついに就活ならぬ終活をしたという。

実家で一人暮らしの母にはさすがに終活をするには早いのではないかと思い、どうしたの?と聞くと、「あなたたちにいざとなったら迷惑をかけたくないから、自分が動けるうちにお葬式のこととかその後のこととかやっておきたいの」という答え。

10年以上一緒に暮らしてきた愛犬が、年々弱ってきたあたりから、「この子が死んだら、一緒にお墓に入れてあげたい」と帰省の折にぽつりというので、母なりに死や別れについて思うところがあったのだと思う。

同じマンション内のお引越し

思い起こせば数年前、急に「引っ越すから」というので、どこに?と聞くと、なんと同じマンションの現在住んでいる階から、一階に空きが出たからそこに移りたいという。

今の部屋の方が明るく見渡しもいいし、風の通りも気持ちいいからそのままの方がいいのに、という私に「でも、この先何かあった時に一階の方が楽で便利だから」と言い、呆れる私たち娘の説得は聞かなかった。

当時の家のベランダには、母の唯一の趣味である観葉植物がたくさん育てられていて、ペットの犬と猫がベランダを自由に出入りしてはのんびりとひなたぼっこをしている様子が私も好きだったので、内心残念ではあったけれど、実際に住む母の意思を尊重した。

その後、一階に引っ越した後に行くと、ぐっと観葉植物の数が減っていて、家具やものがずいぶんと断捨離されていたことに気づいた。

母は、どうやら引っ越しを契機に、ぐんと身軽になったようだった。

娘たちもとっくに巣立ち、それぞれ家庭をもつようになったので、母は自分の身辺を整理しようと思ったようで、以前よりやや手狭になった一階の部屋にこれから必要な最低限の荷物だけにして、終の棲家に落ち着くことができて満足気だった。

終活のしめくくり

またあくる年の夏の帰省のとき、母が「もし私に何かあったときのことだけど」と、いつか来る日のことについて「こうしてほしい」「これはこうなってるから」といろいろ説明してくれた。ずいぶん用意周到な感じだけど、まだまだ気が早いよ、と軽く諫めてはみたものの、嫁いだ娘たちになるべく迷惑はかけないつもりだという強い意思だけは変わらなかった。

昔からアイロンをかける時も角をピシッと決める母。おそらく、その延長で自分の人生の幕おろしも自分でピシッと決めたいのだろう。

さて、どのようにこの先も元気で長生きしてもらおうかと考えるが、終活まで済ませすっきりした表情の母に対し、明快な答えは見つからない。

とりあえず、毎年の夏の帰省で子どもたちを連れて楽しく時を過ごすことで、いい思い出をたくさん貯めていってほしい。

断捨離してすっきりした部屋にも、孫との思い出なら荷物にはならないだろう。

この記事を書いた人 おおつかけいこ 教師歴10年の経験をもつ教育者。ライティングの「ものかき」でマネージャーを務めるほか幼児教室も主宰 おおつかけいこの記事をもっと読む>>